「よっしー、コレは?」


「俺と棗のバンドのライブチケット。男連れて来いよ。その姿見たら棗も少し、考え直すだろ」



何してんだ、キモロン毛!!



わざわざ胡桃ちゃんを煽るような事すんな、バカ!




「よっしーとお兄ちゃん、まだバンド一緒にやってたんですね」


「あぁ。最近は俺が忙しくて活動してなかったからな。久々のライブだ」




テメェらのバンドが何だろうが、どうでもいいんだよ!



あぁ、どうしよう。

胡桃ちゃんに悪い虫がつく―!!




当日尾行するか?
ライブハウスぶっ壊すか!?


はたまたキモロン毛を病院送りに…ブツブツ





「…茜くん、一枚あげます」


「え?」


「迷惑じゃなければ…そのっ…一緒に行ってくれませんか?」



チケットを一枚差し出し、真っ赤に頬を染めて少し震える胡桃ちゃん。




可愛過ぎるこの子…

今すぐお持ち帰りしてもいいですか?





「俺でいいんスか?」

「はい!茜くんがいいです」



いっ…今のセリフ、無限リピート希望っ!




「じゃあ、有り難く頂戴します」



チケットを受け取ると、胡桃ちゃんはニッコリと微笑んだ。




「ライブは19時からだから、18時半に会場で待ち合わせろよ。いいな?」



テメェが決めんな、キモロン毛!




「そうですね!…じゃあ茜くん、今週の土曜日の18時半にライブハウスの前で」


「はい。楽しみにしてますよ」




胡桃ちゃんは頭を下げると、お兄様とカフェを出て行った。