これで良かったのか?



…いいワケないだろ、俺。





あの時は

少しイライラしていただけで



別れよう、なんて

1番必要なくて

言ってはいけない言葉だった。







「そんな事になってたとはな」




あれから数日。


いつものようにバイトをしながら

先輩と話していた。





「どうりで胡桃が来ないワケだ」


「…すみません」


「いや、こればかりはお前だけが悪いワケじゃねぇだろ」




毎日LOVE SICK cafeに来ていた胡桃は、あれからプッツリと来なくなった。



…そりゃ当たり前か。






「後悔してんならメールでも電話でもして謝れよ。胡桃もそれを待ってるんじゃないのか?」


「今戻ったって、同じ事の繰り返しになるだけでしょ」


「変なとこ頑固なんだな、お前」




コツンと先輩に頭を小突かれた。




いつもなら

『何すんだ、キモロン毛』

って、言い返すはずなんだけど…





「はぁぁああぁ〜…」




ため息しか出ねぇ。






「お前がヘコんでんなよ」




先輩は小さく息を吐くと、接客しに向かった。