「さぁーて、と」



茜くんはニカッと笑うと


キュッと手を繋いでくれた。





「本当は胡桃と2人が良かったんだけど……手繋げるし、まぁ良しとしようか」


「…はいっ」




茜くんは笑ってくれるのに
茜くんは優しくしてくれるのに



なんでこんなに不安なんだろう。





「そうだ茜、来月にある高校のクラス会行くでしょ?」



6人でブラブラ歩いていると

よっしーと前を歩いていた天音さんが茜くんの横にやって来た。




「わかんねぇよ、まだ。バイトあるかもしんねぇし」


「バイトくらい休みなさいよ。でも、まだ卒業して1年も経ってないのにクラス会開くなんて笑っちゃうよね」


「あー…聞いた話によると田中と佐藤が結婚したらしいぞ。そのお祝いを兼ねてんじゃねぇの」


「えっ!?あの委員長と学校1のヤンキーが!?何それ、私知らなかったんだけど」




私には分からない内容の話で盛り上がる茜くんと天音さん。



茜くんはずっと私とは反対方向を向いて笑っている。




手は繋いでいるけど

凄い疎外感。



負けた…と強く思った。





「胡桃、女子の意見を聞かせてくれないか?」



私の横にやって来たよっしーは、コソッと小声で話し掛けてきた。




「今向かってんのはこの店なんだけど、どう思う?」



デートスポット大全集と書かれたポケットサイズの雑誌を開き


そこに載っている小綺麗なスイーツのお店を指差すよっしー。





「よっしーが天音さんを思って選んだなら、きっと喜んでくれますよ」




よっしーに笑みを向けると、よっしーは困ったように微笑んだ。





「…そんな泣きそうな顔すんじゃねぇよ。柏木はマジにお前にゾッコンだから心配する事はねぇよ」



「本当にそうなんでしょうか」



「そうだって。…まぁあんだけ仲良くされたら正直、俺も妬くけどな」




仲良く笑う茜くんと天音さんを見てよっしーは苦笑いした。