なぜなら――そのストラップは秋人が前に、‘お気に入り’だと付けていた物だったのだ。 「くれるの……? 私がもらってもいいの……?」 ストラップのところにリングが付いていて、BVLGARIと刻印されていた。 材質はカーフ、色はネイビーで、いかにも秋人が好きそうだ。 それを握り締め、秋人の事を想い声を押し殺して泣いた。 今日までの出来事を決して忘れまいと、胸に強く刻みながら――