メガネの裏はひとりじめⅠ




「"元"ダサ男より壱翔君のが10倍カッコいいもん!!」



向けられた直後、口を開いて上げられた声に言われたセリフはそんなセリフで。



かなり止めて欲しいけど道留君をダサ男と呼ぶ前に"元"と付けて呼んだということは道留君のカッコよさをイブも認めたっていうことで嬉しいはずなのに。



あたしはイブが放ったそのセリフに何だかカチン、ときてしまい、巳陵壱翔より道留君の方がカッコいいに決まってるのにそう言われて悔しくなって。



あたしも負けじとイブに言い返した。



『巳陵壱翔が10倍なら道留君は100倍カッコいいもん!!』

「何それ有り得ない!壱翔君のが1000倍カッコいいし」

『そっちのが有り得ないーっ!道留君は1億倍カッコいいの!!決まってるんだからっ』

「決まってないよバカ可鈴!!壱翔君が1兆倍カッコいいって決まってるの!!」



ハァ…ハァ…ハァ…。



息を切らすまで街中で。しかも人通りが多い駅前で向けられる冷たい周囲の瞳や怪訝そうに通り過ぎる人の瞳なんか気にも止めず声を大にして言い合うあたしとイブ。



こんなに声を上げて言い合ったりしたのなんかむちゃくちゃ久しぶりで、多分…大和と本気でマジギレし合った時以来?



その時のマジギレした理由なんてもう昔のことすぎて忘れてしまったけれど、イブとこんなことで言い合いするとは思わなかった。



息を乱し肩で呼吸を整えるあたしとイブは一旦休憩して。



そしてまだ気が済んでないお互い再び口を開き、言い合いを開始しようとしたその瞬間。



「――…はい、もうそこまで」