あたしの頬っぺたをつついた"何か"は、さっきあたしの隣で巳陵壱翔が待ち合わせ場所に来てくれたことに泣きそうと言い、多分ほんとに少し泣いたであろうイブの指で。
僅かに潤みを含んだクリクリの瞳をあたしに向けながらイブは怪訝そうな表情を浮かべてそう言ってきた。
『誰って…、道留君だけど?』
「……は?可鈴、ジョーク好きだったっけ」
『何それっ。あのイケメンさんは正真正銘道留君だよ?』
「……え。マジで?」
『うん。マジで』
嘘だと。そう言いたそうに言葉を返してくるイブにコクンと頷き、ジーッと離れたとこに居る道留君を凝視しだしたイブを見てあたしは苦笑を零す。
疑ってしまうのも、無理ないのかな。
だって学園での姿と今の姿とではまるで別人のように違うし、"あの"道留君のメガネを外した素顔がこんな極上のイケメンだなんて。
あたしも含め誰も想像しなかったから最初は驚いちゃうよね。
無言でかなり道留君を凝視しているイブにあたしは『むちゃカッコいいでしょ?』うふふ♪と若干のおのろけ混じって自慢げに言ってみる。
そしたらその言葉を聞いたイブの身体はピクリと反応し。
道留君を凝視していてあたしから逸れていた可愛らしい顔は"何言ってんだこいつ"と書いた見えない紙を貼り付けてあたしの方に向けられた。


