恐怖のニッコリ笑顔は引っ込めて、多分むちゃくちゃ気になってるであろうその巳陵壱翔を誘う理由を早く言えと、道留君はまだ攻略ノートに刻み込む途中段階であるあたしを急かしてくる。
まっ待ってくれ…!
せかせかと急いで刻み込んでしまえば、漆黒にあたしを映し出しながら待っている道留君に口を開き理由を言っていった。
巳陵壱翔を誘うのは、あたしの友達であるイブの恋を叶えるためにあたしと道留君がデートするのと一緒にイブと巳陵壱翔もデートするから誘うんだと。
そう理由をもう少し丁寧に言えば道留君。
「誘う理由は分かったけど…、可鈴、イブちゃんに俺んこと言っちゃったの…?」
まさか。
そんな表情でゆっくりと確かめるよう聞いてくる道留君にあたしは頭の上にハテナマークを浮かべながら『言っちゃったよ?』そう言うと、道留君ははぁあああー…大きなタメ息を零した。
…あれ?言っちゃダメだったのかな?
でも道留君はメガネを外した素顔を誰かに言っちゃダメだって言わなかった――…って!
そんなこと普通言ったりしないよあたしのバカッ!
『あの…言っちゃダメとか知らなくて…。ごめんなさい…』
タメ息を零した道留君に知らなかったとは言え、イブにだけだけど他人に喋ってしまった罪悪感を抱いてしまい、あたしは震える声で謝る。
だけど道留君はどこまでも道留君で。