メガネの裏はひとりじめⅠ




だけどそんな小さな攻撃は道留君に手を取られることですぐに終わらされ、次いで耳元に道留君の呼吸を感じ、鼓膜には甘く柔らかな声が響く。



「可鈴、笑ってごめんね?」



…道留君は、ズルい人だと思う。



デリカシーがなさすぎる言葉を言ったかと思うと、あたしが泣く理由を言わなくても見透かしているかのようにそう謝ってきたりして、コツコツと心をつついてくるのだ。



それがなんでか悔しくって。



デリカシーがなさすぎる道留君へ仕返しにと、もう許す方向へと向いている気持ちとは裏腹にあたしは謝る言葉に何も言葉を返してやらないことにする。



そしたら道留君は「許してくれないの…?」悲しそうに唇を耳元に寄せたままでまた、ズルいこと。



あたしの胸はギューッと締め付けられて身体は素直にピクリ、反応しちゃう。



だけどここは耐えてずっと無言を貫き通していると、道留君は最後の手だといったように口を開いてこう言ってきた。



「可鈴のお願い何でも聞いてあげるから。ね?許して?」



そう言われた瞬間、あたしは頭の中であることを思い出してレディーとしては少しはしたなくニヤリ、唇の端を持ち上げる。



そのあることとは、イブが提案したダブルデート。別名"イブと巳陵壱翔の祝☆彼氏彼女大作戦デート"のことで。



あたしは太股にくっ付けていた顔をさっきまでの恥ずかしさは何だったのかと思うぐらい躊躇なしに耳元から離れた道留君へと向けると、目を見開いた道留君にキラキラとした眼差しを向けた。