メガネの裏はひとりじめⅠ




なーんて、巳陵壱翔がタバコを吸う姿を想像してそう思い、そしてまた物珍しくキョロキョロと瞳を動かしていれば。



ガチャリ。ドアが開く音が耳に届き、あたしは音がした方へと瞳を飛ばした。



そこから出てきたのはいつもと同じ様にネクタイをキリッと締めて制服を校則通りに着こなし、だけどメガネは外した優等生スタイルの道留君。



不意に上がった道留君の瞳と自分の瞳をかち合わせた。



「もう痛み引いちゃった?」



出てきた違う部屋のドアを後ろ手でパタリと閉めながら道留君はそう聞いてくる。



あたしはそれに『ちょっとだけ』指で"ちょっと"を表しながら言葉を返すと、道留君は苦笑いを浮かべてその場からこちらに足を進めてきて。



あたしの隣へとソファーに腰掛けたなら、手に持っている物を道留君はあたしに見せた。



「氷。持ってきたんだけど使う?」



垂れる長めの前髪の隙間から覗く漆黒からその見せられたビニール袋に入った氷に瞳を移して、道留君が何であたしの前から立ち去ったのか理由を知る。



わざわざ氷取りに行ってくれたんだ…。



そんな道留君の優しさに胸をキューッと締め付けられながら、あたしは有り難く氷を貰おうと『ありがと』そう言って受け取ろうとしたのだが。



「でもその前に。ここに頭どーぞ?」