そして、道留君はソファーに寝転んだあたしに一度メガネ越しの瞳を向けると何も言わず無言であたしの前から立ち去って。
静まる部屋にはパタン…虚しくドアが閉まる音が響いてあたしだけが取り残されてしまった。
どこ行ったんだろ…。
一人ポツンと広すぎる部屋に取り残されたあたしは寝転ぶソファーから身体を起こして、未だジンジン痛みを訴えるおでこに触れてみる、と。
そこはポッコリと小さな山が作られていて。
これは痛いはずだ。なんて心の中でポツリと呟き、あたしは涙で潤んでいる瞳をワイシャツの袖でゴシゴシと拭った。
拭って、先ほど来た時は道留君や巳陵壱翔でじっくり見れなかった生徒会室をグルリと見渡す。
あまりにも広すぎる室内に高い白の天井。
壁に掛けられたカーテンには汚れ一つなく、床はお金が掛かってそうな赤絨毯。
座るソファーの向かいにはもう一つ同じ黒革のソファーがあって。
そのソファーの間に挟まれてあるローテーブルの上には初めの時にはなかったであろうこの部屋には何とも不似合いなタバコの吸い殻が入った灰皿が置かれている。
生徒会の皆さんは外見からして真面目なことが窺える人達ばかりだ。
ここでタバコを吸った人を見当するならば数時間前、向かいのソファーに座りあたしを笑ってきた巳陵壱翔だろうか。
…うん、タバコが似合いそうな人だな。


