メガネの裏はひとりじめⅠ




そのよく聞き慣れた高い声は、紛れもなくイブのもので。



あたしはそんなはずないと耳を疑い、すぐに広くて大きいリュウちゃんの背中から顔を出してそれがした方に瞳を向けてみる。



すると向けた視線の先には、椅子に座る身体の上半身だけを捻ってこちらを向き、ムーッと可愛く頬っぺたを膨らませた声の主であるイブが居たのだ。



な、何で居るの?



生徒会室で道留君と話していた時、いつの間にか休み時間も終わり授業が始まってしまっていて、あたしとは違い普通だったらイブは真面目に、とは言わないけど今は授業を受けている時間帯なのだ。



それなのにイブがここに居るのが不思議で。



まさかイブもサボってたのかな?と首を傾げたすぐあとに、リュウちゃんの背中から顔を出しているあたしをイブは見つけ、膨れっ面からパァッと顔中に笑顔を咲かせた。



「可鈴だー!可鈴も一緒にするの?リュウちゃんっ」



咲かせた笑顔はあたしに向けられ、次にリュウちゃんへと向けられて、弾んだ声色でリュウちゃんにそう聞くイブ。



そんなイブの問い掛けに「あぁ」リュウちゃんは短く返事をし、イブと一緒に何をするのか分からず頭の上にハテナマークを沢山浮かべるあたしが『何するの?』背が高いリュウちゃんを見上げて聞いたなら。



リュウちゃんはまるで聞かれるのが分かっていたかのようにあたしを見下ろし、お得意の恐怖のニッコリ笑顔を浮かべて語尾にハートマークを付けて言ったのだ。



「化学、超難問抜き打ちテスト」