口を開いた巳陵壱翔の声はさっきまでの低い音とはまた違って言葉にズッシリとした重みを感じ、自然と背筋を伸ばしてしまうようなそんな低い声で。
道留君に至っては物腰は柔らかいものの、それとは似合わず表情は"無"。
男二人を取り巻く空気は一瞬にしてピリッとはりつめた空気に変わっていた。
そしてまたしても言葉の意味を理解出来ないあたしはそんな空気になったことで途端に場違いな存在になってしまったような気がしてゴクリ、生唾を飲み込む。
何の話しなのかな…?
ピリピリと居づらいはりつめた空気の中、巳陵壱翔がその話の続きをしようと口を開いたら、それにすぐさま道留君が「待って」と口を挟み。
次に道留君を見上げるあたしを道留君は申し訳なさそうに眉を下げながら見下ろして。
「悪いけど、さきに教室戻っててくれる?」
『…どうして?』
「…ちょっと壱翔と大事な話」
だから、ごめんね。
控えめにそう付け足し、ポンポンとあやすようにあたしの頭に手を置けば、道留君は自分の脚の上に乗っていたあたしの身体を脇に手を入れ軽々と持ち上げて床にあたしを立たせた。
わっ、わわわ…っ!
一瞬の出来事だったけど道留君に抱っこされたと頭が理解したらそれはだんだんと恥ずかしさに変わっていき、一気に熱を持ち始めた顔をあたしは手のひらで覆い隠す。


