メガネの裏はひとりじめⅠ




「いつまでも笑ってんな。ウザい」



巳陵壱翔が笑う理由が分からないからか、それともただ単に巳陵壱翔の笑う声が鬱陶しいだけなのか。



どっちにしろ道留君が巳陵壱翔に向けたヤジにはイライラとした感情が含まれていた。



そんなあからさまな道留君のそれに巳陵壱翔は何かを感じたのか笑うのを止めて。



だけど笑いを含んだ口調であたしが理解に苦しむことを心なしか楽しそうに道留君に告げた。



「これから苦労すんな道留ー」

「……何で」

「男の子のアレコレが大変?」

「……」

「っはは。ごしゅーしょーさま」

「……死ね」



この場に居るあたしだけが意味を理解出来ない巳陵壱翔の言葉に道留君はドスのきいた低い声であまりよろしくない言葉を吐き、その表情は見るからに不機嫌な色に染められている。



そんな道留君をどこが面白いのか再び喉を鳴らして笑う巳陵壱翔に道留君は不機嫌面から呆れを浮かばせはぁー…と盛大なタメ息を零していた。



「…つーかお前、何しに来たんだよ」



あたしを腕に閉じ込めたまま、一番道留君が気になっているであろうことを道留君は笑う巳陵壱翔に投げ掛ける。



そしたら巳陵壱翔は零していた笑顔を途端に引っ込め、今度は真剣な表情を露にし、道留君に負けず劣らずの綺麗すぎる顔をこちらに真っ直ぐ向けて口を開いたのだった。



「あいつらがまだ本格的にじゃねぇけど動き出してんぞ」

「…あぁ。そんことか」