あ…、こんな道留君、校舎裏で会った時も見たかも。



カラカラ、数時間前の記憶を辿っていくと確かに、道留君は今と同じようにあたしから顔を背け、赤く染まった顔を隠すように口許を手のひらで覆っていた。



癖なのかな?



そう思ったら何だか目の前で赤くなっている道留君が可愛く見えちゃって、クスクスと喉を鳴らしながら笑っていると。



「笑ってんなっ」

『ふにゅっ!』



酷い酷い酷い、酷い〜!!



まだ少し頬っぺたを赤くしたまま拗ねた表情を浮かばせた道留君はあろうことか乙女の頬っぺたをむにゅーんっと、痛くはないものの口許を覆っていた手の指で横に引っ張ってきたのだ。



し、か、もっ!



「ぶふっ。可鈴、超かわいーよ?」



なーんて、ほんとに可笑しそうに道留君は笑ってそんなこと言ってきて。



あたしの頬っぺたが伸びた顔を見て拗ねた表情はどこかへ飛ばしてしまった道留君とは逆に、今度はあたしが拗ねた表情を浮かばる番で。



頬っぺたを摘まんでくる道留君の手をパシッと叩き、そこから離させると、あたしは道留君から完璧に離れてソファーの一番隅っこに体育座りをして身体を小さくした。