メガネの裏はひとりじめⅠ



『ち、ちち違うよ!?』



ブッブー。そう言って顔の前で腕と腕をクロスさせて"×"を作る。けど、『(あ…。)』めちゃくちゃしくじったことに気がついて。


コラコラ可鈴、こんな大事なところでどもるって、ドジ……ってよりかなり使えないね。

心の中のあたしがグサリ、胸に鋭利な刃物をぶっ刺してくる。


今の状況で、どもるイコール焦ってる。焦ってるイコール嘘をついている。嘘をついているイコール本当は道留君と付き合っている。

そんな式ができてしまうわけで。


案の定、ちょろっと"×"マークを作る腕からひまを見ると、アーモンド型の女の子みたいに大きな瞳を細めてじとーっとあたしを見つめてくるひま。



『ほ、ほんとに!付き合ってないよ!?』

「嘘つけ。どもってる、脂汗出てる。」

『嘘じゃないーっ!ていうか失礼だな!脂汗とか出てないもんっ。』



なんだよ脂汗って!女の子に向かって失礼すぎる!で、でも言われたら気になっちゃうのが恋する乙女。


脂汗といえば鼻、かな?え、分かんない。恐る恐る指で鼻の頭をちょん。――…おお、セーフ。脂汗は出てません!


ほっと指を見て一安心。出てたら猛ダッシュでトイレ行き決定だよ。



と。

「ふ、っは、お、お前、気にしてんじゃねぇよ。」