メガネの裏はひとりじめⅠ



「お前これ、昨日落としただろ。」



ひまの手に持たれている視界に入ってきた紙をあたしも手に持って、ひまのセリフに『(――…え?)』紙を凝視する。


名前を記入するところを見てみると、お世辞にも綺麗とは言えない丸々とした字であたしの名前が記入されていて。

これは確かにあたしの字だ。


あたしが落としたらしい紙をひまからもらい、その紙――…プリントは全部で3枚。


プリントにびっしりと詰まった小さな文字と問題、正確に言えば化学の問題に、あたしの記憶は猛スピードで巻き戻る。



『(そ、そそそうだった…っ!)』



昨日は道留君との甘い甘い時間にすっかり忘れていた。昨日忘れているんだから、今日覚えてるはずなんかなくて。


ああああ。やっばい、今思い出した。リュウちゃんにこのプリント、提出しなくちゃいけなかったんだ。しかも期限は昨日。ああ、終わった。



「俺がわざわざ見せてやったのにさ、なんなのお前。落とすとかねぇだろ。」



ふざけんな。


なんてひまは言うけど、ふざけんなって言いたいのはあたしだから。拾ってくれてこう言ったら悪いけど、なぜ今渡す?なぜ昨日じゃない?