メガネの裏はひとりじめⅠ



それが悲しくない、なんて言ったら大嘘つき。めちゃくちゃ悲しいに決まってる。


だけど、でも。自分が道留君を傷つけたのだから、見てるあたしに気づいて欲しいとか思うのは、図々しいにもほどがある。


自分が悪いんだ。我慢しろ。こんなんでいちいち泣くな。



「…おい、可鈴。なに泣きそうになってんだ。」



道留君を見つめていて、ちょっと存在を忘れかけていたひまの声が鼓膜を擽る。あ、しまった。



『…だってチョップ痛かったんだもん。』



心配されたり、道留君との関係がバレるわけにはいかないから、疑われない真実に近い理由をぷうっとふくれて言うあたし。


こんなとこだけ頭の回転が早い自分が嫌い。


案の定、ひまは疑いもせずに「…悪かったよ。」ポリポリ、頬っぺたを掻いてぶっきら棒にそうポツリ。



…また、嘘をついてしまった。


朝の出来事には関係のないひまにまで嘘をついてしまって、もうあたし、閻魔様に舌を抜かれちゃうんじゃないの?


そんな自分が嫌で、悲しくなって、見ていたひまの顔も見れなくなって。


俯いたあたしにひまは不意に「そうだ、」そう言って、ん、と。下を向くあたしの視界にヒラリ、紙を入れてきた。