痛い、痛い。握る腕よりもずっとずっと。胸が、痛い。
それでもこんなあたしの痛みなんかより何倍も道留君の方が痛いと思う。ごめんね。ごめんね、道留君。
静かな教室にカツカツカツ…と黒板の上を走るチョークの音と、先生の淡々とした声が響く中。あたしは、
『(――…ごめん、なさい。)』
カーディガンの袖を濡らしながらそっと目を閉じて、握る腕にさらにギュウ…ッと力を込めたのだった。
――――――――…
――――――…
――――…
「――…い、」
『…、』
「――…い、……ん!」
『…、』
「――…おい、可鈴!」
『…んっ、』
……誰?
ボリュームがでかい声に名前を呼ばれて、ゆさゆさ、肩を掴まれて突っ伏せる身体を強く揺さぶられる。
短い呻きを漏らすと共に閉じていた瞼をうっすらとゆっくり持ち上げていくと――…「さっさと起きろバカ!」うわぁあああ。
『…ひまだぁ、』
「なぁにがひまだぁ、だ。」
いつまで寝てんだ。
そう付け足してピシッとあたしの前髪が乱れて露になったおでこに指を弾く男、樋笠向日葵(ヒガサ ヒマワリ)。
生まれた時から幼なじみの、悪く言えば腐れ縁の仲である通称ひま。


