もそっと動いて、イブと同じように授業を真面目に受ける黒縁眼鏡をかけた道留君の背中を見つめる。
道留君が教室に入ってきた時、席に着いていたあたしは道留君を見て、道留君と目が合った。
合った、けどそれは一瞬。道留君はあたしと目が合うとすぐにあたしから目を逸らしたんだ。
あからさまなそれに、あ、やっぱ嫌われちゃったかなって。
世界一好きだと言ってくれたつい昨日の道留君のセリフを思い出しても自信は取り戻せなかった。
まるで抉られたみたいに、胸が痛かった。
『(どうしよう、どうしよう、)』
道留君を目の前で傷つけた。イブも傷つけて、その上さらに嘘までついて。
過去に戻りたい。もう一回、朝起きるところからやり直したい。今あたしが神様にお願いするなら絶対それだ。
バカバカ。巳陵壱翔のバカ!…あたしはもっとバカ。
道留君の背中を見つめていたら、目から涙がまた零れてきた。ぽろぽろ、ぽろぽろ。
泣いているのなんか誰にもバレたくなくて。バレたらきっと騒がれると思うし。
道留君を見るのをやめたあたしは腕におでこを乗せて、ギュッと腕を強く、痛いって声を出しそうなぐらい握った。


