『イブぅ〜…。』
涙腺ゆるゆるのあたしには耐えることなんて無理だった。ゆらゆらと視界を涙で歪ませて、そんな情けない声でイブを呼ぶ。
呼んで、それに「どうした?」こてん、と小さく首を傾げてあたしを心配してくれるイブに"あのね"そう言いかけて――…止まった。気づいてしまった。
あたし、最低だって。イブのことも傷つけちゃってるじゃんって。
巳陵壱翔はイブの好きな人。その、友達の好きな人に理由は分からないけど抱きしめられたあたし。
イブにさっきの出来事を話すなら、そのことも必然的に言わなくちゃならなくなる。
…いや、必然的に、はちょっと語弊があるかもしれない。
イブを傷つけてしまっていることを言わなくてもいい言い方なんて、考えたらたくさんある。
だけどそんなことをしたら、そこにはどうしようもないぐらいの罪悪感が生まれて。きっとあたし、それに耐えられない。
だけど言う根性もない。最悪すぎる。ああ、もう。嫌い。嫌い嫌い嫌い。大っ嫌い。
「…可鈴?」
イブの細い声が耳に入ってきてはっとする。
真っ直ぐ、なんの疑いもないルビーブラウンの瞳に見つめられてザワリと胸が波立った。


