メガネの裏はひとりじめⅠ



ゴシゴシとブラウスの袖で拭っても落ちる涙。ヒクヒクとしゃくるあたしに向けてはぁーっと遠慮なしに吐かれたタメ息。



「面倒くせぇなお前。いちいち泣いてんじゃねぇよ。」



あーうざ。


そう付け足した巳陵壱翔は心の底からあたしをほんとにうざいと思ってると思う。


頭から手は離れ、「勝手に泣いてろ。」優しさの欠片もないこのセリフがその証拠。


よし、ブリザード男と新たにあだ名をつけよう。喜べ。


ていうか一応泣いてる原因の中に巳陵壱翔も入ってるんだけどね?

巳陵壱翔も道留君を傷つけちゃったって、ちょっとは自覚して欲しい。絶対俺は悪くないって思ってるでしょ。


そのことに少しイラッとした。泣きながら沸々(ふつふつ)と沸いてきた苛立ちが言葉になりかけた――…



「道留行ったし、俺も行くから。あとお前、自分がしたこと覚えてろよ。」



のを、低い淡々とした声が遮って。行け行け!早くどっか行っちゃえブリザード野郎!心の中で盛大にヤジを飛ばすあたし。


苛立ちは消えない。最後に涙で潤んだ目で巳陵壱翔を睨んでやったら、「酷ぇ面。」ハンッと鼻で笑われて。憎い!憎たらしすぎる!


ゴシッと涙を拭いながら、立ち去る大魔王に復讐を誓ったのは言うまでもない。