『あたしだって…っ、』
「はん?ふざけんなてめぇ。こーんな超イケメンとハグできたことを光栄だと思え。死んでも一番の自慢にしろ。」
『い、意味分かんないしっ。ていうか嫌!』
「…へー。嫌。へー。あっそー。じゃあハグ代。」
『……は?』
「俺がわざわざハグしてやったんだ。しかもハズいの我慢した寒ぃセリフ付きで。払えよおら、五千円。」
『は!?』
ちょちょ、意味不明すぎるんですけど!なに?かつあげ!?110番に電話した方がいい!?お巡りさん呼ぶ!?
ていうかハグしてとか頼んでないし!勝手に大魔王がしてきたんじゃん!――…って、ああ!そうだあぁー…。
しなきゃならない大事な大事なことを思い出して、あたしはパタパタと自分の制服を手で払っていく。特にお腹と背中(届く範囲で)。
パタパタ。パタパタパタ。
埃(ほこり)を払う仕草をするあたしを見て眉を顰める巳陵壱翔。
「なにしてんだクソチビ。」
『え!?だだだって、巳陵壱翔エキスが…っ、』
「…、」
『…うにゃ!な、なにす、っ!』
"やばい、死ぬ"
巳陵壱翔の作り物みたいな美顔を目にした瞬間、その言葉が頭の中にぼわんと浮かんだ。


