そんな道留君にどうしたの、とか思い口にするよりも早く道留君が俯いている理由が分かってしまった。
絶対に、あたし、だ。
今あたしは彼氏の道留君じゃなくて天敵の巳陵壱翔に何故か(ほんとに何故か)抱きしめられている。
あたしが道留君の立場なら、道留君が他の女の子に抱きしめられたりしていたら嫌だ。
それがたとえ友達のイブだとしても嫌。そんな場面、見たくもない。たぶん泣きたくなると思う。
道留君の今の気持ちもきっとそう。
こんなの、道留君を裏切ってるのと一緒じゃない?バカバカ。マジでバカあたし!なんで黙って抱きしめられてんだっ。
彼女なのに。道留君、傷つけてんじゃんかぁ…。
『っはな、して。』
ギュッとお腹に回っている巳陵壱翔の腕を離そうとグググッ。手に力を入れてみる。だけど簡単には離れなくて。
涙が浮かんでぼやける視界。今頃になって道留君を傷つけてるって気づいた自分が鈍すぎてすっごく嫌。巳陵壱翔より嫌い。
「おい。じっとしてろ。」
うるさい。バカッ。早く離れろ…っ。


