メガネの裏はひとりじめⅠ



『なっ、』



コラコラコラ。ちょっと待った!巳陵壱翔のセリフに意義あり!さっきからなに言ってるの!?


前を見るエメラルドグリーンの瞳は道留君を通り越してその斜め後ろ。胡座をかいてる男の子だけを見つめ、バリトンに凄みをきかせた。


そこにおふざけは一切なし。きいた凄みも怖さを覚えるほど。


あたしも一瞬ビクッてなった。だけどセリフの方がずっと驚いちゃって、怖さを覚えたのはほんとに一瞬だけ。


でも、凄まれた男の子はあたしとは違う。見れば、"怖い"って感情をもろに表情に出してしまっていた。巳陵壱翔を見上げる顔は青ざめている。


この男の子は、巳陵壱翔が暴走族に入ってるって、噂だけどそれを知っているのか。

…いや、知らなくても今のは怖いな。ふつうにビビる。


何で男の子に巳陵壱翔はあんなことを、あと彼氏じゃないのに彼氏発言なんかもしたんだろう――…って、考える前に、



『(道留、君。)』



目に留まった。男の子から不意に逸らした瞳に映った道留君は俯いていて。


その姿に、なんだか胸がギュウ…ッと苦しいくらいきつく締め付けられたあたし。


道留君が、小さく見える。