なにを言おうとかは全然頭になかったけど。男の子と目が合って自然と出ていた言葉を巳陵壱翔の声が遮る。
と、いきなり肩を強く後ろに引かれて道留君の腕の中から出ていくあたしの身体。
え、なに!?なんて、状況を理解できないままトン、と背中はなにかにぶつかる。後ろから回ってきた手はギュッとあたしを抱きしめた。
耳に、聞いたことがない巳陵壱翔の低くて甘い声が響く。
「なに他の男に触られてんの?マジで妬けんだけど…。」
喋る度(たび)にかかる吐息と、ゾクゾクする官能的なその甘すぎる声が身体の芯まで一気に駆け抜ける。
瞬間でかあっとリンゴ色に染まるあたしの顔。声が入ってきた方の耳はどこよりも一番熱い。バッと巳陵壱翔を見やるあたし。
ななななにすんだこの男!信っじらんない!
ていうか彼氏って意味分かんないんだけど!あたしの彼氏は優しい優しい道留君だけだもん!巳陵壱翔なんか死んでも嫌っ。
――…と、言いたいけど、声の威力はすさまじくて。『な、な、なな、』わなわなと震えるあたしは上手く喋れない。
そんなあたしを見て巳陵壱翔はニィッと笑う。


