メガネの裏はひとりじめⅠ



巳陵壱翔の言うことをきいて、声をもとに戻すために再び伸びた"あ"を連呼し出した道留君。


サァーッとあたしの顔色がさらに悪くなる。抱きしめられてるからってリンゴちゃんになっている場合ではない。


道留君の変な声を聞きつけて先生が来たらどうする。相変わらず巳陵壱翔は紫煙を揺らめかせていて、吸い終わる気配はまだないし。


なんで?道留君も巳陵壱翔も危機感なさすぎでしょ!



"あ"を繰り返すのになかなか戻らない声に「…戻れって。おい。」ムッとしながら道留君はつっこむ。……天然?


また新しい道留君を発見。ムッとした顔もやっぱり可愛い。ちょっとキュンとした。


け、ど。早く戻って欲しいってあたしも思ってるよ。そして少しお口チャックしていただきたい。



それから暫くして、先生が来ることもなく道留君の声は見事元通り。


もとに戻った瞬間、「戻った!」嬉しそうにニカッと咲いた笑顔を向けられた時には鼻血が出るかと思った。女捨てちゃいそうになった。


学園スタイルでもね、メガネ外してる時と同じ。眩しすぎて可愛すぎてかっこよすぎなんだもん!!


そんな笑顔フラッシュを間近で浴びたあたしはクラリ、目眩がするのを感じながら『どーしたの…?』聞いてみる。


「ん?」と、優しく返ってくる柔らかい音はもういつもの道留君。


『さっきの変な声…。』