ニヤリ。そう言って何か楽しい悪戯を見つけた子供みたいに口の端を上げて道留君を見上げる巳陵壱翔。
それに道留君はムッと顰めっ面をすると、無言で立てた親指をクイッと下に下げる。「死ね。」え、ダブルパンチ?
結局言葉にもしちゃった道留君は言い終えるとすぐにジャリッと砂を鳴らして足を動かした。
向かうは巳陵壱翔――…ではなく、あたし。
「可鈴。」
『(高い…!)ふっ、はははっ。』
「…、」
『ひゃはっ、へっ、変〜!!』
「(言うなよ…。つーか泣くほど?)…手ぇ離せ壱翔。」
「はいはい。わぁってるって。睨むな。ていうかいつまで高音なわけ?」
「知らねぇよ…。」
真っ黒の瞳をギンッと鋭く光らせた道留君に睨まれた巳陵壱翔は、手を素直にあたしの左肩から離して降参のポーズをとりながら笑う。ヘラヘラヘラ。
はぁ、と空気に混ざった道留君の重たいタメ息は"疲れた"とでも言っているようで。
「もーそこまで。」
おもしろすぎて目に涙を浮かべながらケラケラ、笑い声を空に響かすあたしに相変わらずの変な声でストップをかけてきた道留君。
身体が持ち上がる感覚にやっと笑いは止まる。はっとした時には道留君の腕の中だった。


