メガネの裏はひとりじめⅠ



その中に道留君の大好物であるオムライス(なんかやけにでかい)の姿もしっかり。


くるっとチキンライスをくるむ卵の上にケチャップで"みちる"可愛く名前を描いたのが巳陵壱翔だと思うとちょっと妬けた。あたしがやってあげたかった。



[壱翔ね、ヤンキーだけど料理の腕はすんげぇの。プロ並みでマジ美味ぇんだ。]



巳陵壱翔より一足先にあたしの隣に座った道留君はそう言ってスプーンを手に持つ。


るんるん音符を周りに踊らせながら――…べちゃ。"みちる"を伸ばしてオムライスを掬いぱくり。うわわ…。名前描いた意味。


せっかく巳陵壱翔が描いたのに躊躇なく即行で原形を潰した酷な道留君を見ている、と。



[あんたのはこれね。]



横から手が伸びてきてコト、とお皿をテーブルに置く音。その手からつつーっと上を辿っていけば、タバコを口に咥える巳陵壱翔。


やっぱタバコ吸うんだ…。


生徒会室にあった灰皿と吸い殻を思い出しながらありがと、とお礼。


それに短い返事をくれた巳陵壱翔の目はあたしではなくオムライスをぱくぱく食べる道留君を見ていた。そして、[おい。]道留君を蹴っていた。