な?信じろよ。つーか泣きすぎ〜。
クツクツ喉を鳴らして、そう言って付け足した道留君は頬っぺたから手を離してくれた。
代わりにコツン。おでことおでこがくっ付く。再び訪れた甘い雰囲気。パチパチ瞬いたあたしの顔は一瞬にしてリンゴ色。
「あはっ。可鈴真っ赤っか〜。」
『っみ、みち、』
「今日はいつもよりどもるねぇ。」
『〜〜っ。(だって道留君が…!)』
「(ぶっ。赤くなりすぎだろ。)…んー…、なぁ可鈴。」
『え…、』
道留君との距離はゼロセンチ。今日最高に近い距離で交わる視線が恥ずかしくって。交わす言葉がくすぐったくて。
ドキドキ煩い心臓とか。少し上目遣いで見つめ合うことも全部照れくさくって。
なにか考えたように唸った道留君に呼ばれて唇を開けばすぐ。「俺、嬉しいことしてもらった記憶あんだけどなー。」…みち、る君?
「彼女になってくれたことでしょー?デートしたこともだしー、オムライス奢ってくれたことも。ヤキモチ妬いてくれたことも嬉しかったなー。あとハグも。」
過去を振り返っていくようにポンポンと道留君の唇から出る"道留君が嬉しかったこと"。
たくさん、ではないけど。あたしがないと思っていたものがあったようで。


