今になって泣くなんてやっぱり度胸がない。ヘタレ。もしかしたら世界一ヘタレな女かもしれない。
道留君が世界一綺麗な男の子で、あたしが世界一ヘタレな女の子。――…うわっ。だっさ。あたし超だっさ。
自分と道留君の差に、さらに泣けてきちゃう。ていうか今、そんなことどうだっていいでしょっ。バカ可鈴!
き、キスを。道留君を、止めなきゃ――…。
『…っみ、道留君、は、』
「…え?」
『っ道留君は、あたし、のこと、すき?』
はらはら。溜まっていただけの涙を我慢しきれず零しながら、キュッと固く結んだ唇を開いてあたしは言った。
あと僅か0.何秒。唇を開くのが遅かったら多分、道留君とキスしてた。それほどまでにギリギリだった。危なかった。
あたしの問いかけに、漆黒の瞳が瞬く。パチパチ。パチパチ。
「…分かんない?」
少し、距離を取って。離れた(それでもまだ超近い)道留君の瞳は真剣。言葉にはどことなく、ほんとにちょっとだけ。"哀"の色がぽつん。
「俺見てて、分かんない?」
そう言われたあたしは俯いた。グッと唇を噛みしめる。はらはら。はらはら。涙が、落ちる。


