表情と一緒で意地悪なセリフに真っ赤な顔でムッとするあたし。だけど道留君はフッと笑うだけで。
『…っ!!』
"いーち"
そのカウントがとられることはなかった。だけど、道留君が、動く。とうとう動き出す。もうタイムリミットだと言うように。
ゆっくり、ゆっくり。十分近かった距離が縮められていく。多分世界一誰よりも綺麗な顔があたしに近づいてくる。
逃げ道なんかあるわけない。手だって首に回されて使用不可。や、やばい…。今になって怖くなってきた。
思い出さないってさっき決めたばっかだけど、三木の時も、その他に付き合った人の時も。あたしはキスを拒んでいるんだ。
ただ単純に、"怖い"という理由で。
ど、どういう反応すればいいの?目は瞑る…よね?だけどいつ?分かんないよ…。キスが、どういう感じなのかも分かんない。だから、怖い。
バクバク。バクバク。
毎度同じく心臓が可愛いのカケラもない音で騒いでくれちゃう。煩い。
ゴクッ。生唾を飲み込む。わわわ…っ。来たよ近い近い!ななななにか…っなにか…っ。
道留君は、今回はあたしが涙を浮かべてもやめてはくれないらしい。


