「にー、」
どうしようどうしようどうしよう。ほんとにどうしよう困った。どうすればいいの!?あああ…っ。時間がないよおぉ…。
5秒なんてあっという間。もうすでに残り1秒。タイムリミットはすぐそこ。
道留君のわざとらしく間延びしたカウントに焦りがやばい。半端じゃない。それは残り1秒になった今が一番ピーク。とにかく、やばい。
…なんて言いながら。
あたしの頭の中は"どうしよう""やばい"そういう類の言葉ばっかりで埋め尽くされていて。
道留君が求めている2文字をもう言っちゃえ!という、唇を守るためにやけくそになる選択肢は生まれてなかった。
だって、それは、嫌。やけくそに2文字を言っちゃうなら道留君にキスされる方が全然いい。
あたしは、ちゃんと。道留君のあの二重瞼で切れ長の真っ黒な瞳を見て言いたい。照れて上手く見れないかもしれないけど…。でもそこは頑張って、言いたいの。
「…あと1秒で食っちゃうよ?」
タイムリミットが来る前に。余裕綽々な道留君がそう言ってきた。相変わらず意地悪い表情。むむむ。
分かってるもん。お砂糖王子のバカバカッ。


