一度、意味ありげにセリフはそこで区切られる。
ご、5秒か…。そんな短時間で言えるかな。腹を据えれるかな。素直に言えるかな。また失敗しないかな。大丈夫かな。
バリトンが止まった途端、頭の中ではたくさんの心配事がずらずらずらり。
並べれば並べるほど、ああほんとに大丈夫かって、自分のどんくささを自分で心配してしまう。なんて情けない。
そんなことばっかり思っていたら、自然と目も道留君から外れて下を向いてしまっていた。
と。
舞い戻ってきた甘いあまーい声で名前を呼ばれ、15分前より前からずっとくっ付いたままだった手が輪郭を確かめるみたいに動く。
ピクリ。反応したあたしは20センチ切ってるであろう至近距離にある美顔を瞳に映して――…ああ、当たっちゃった。
「5秒経っても言ってくんなかったら。…可鈴、」
クスリ。道留君が、笑う。不敵で、意地悪く。だけど妖艶に、笑う。
「唇、食べちゃうからな。」
――…当たっちゃった、よ。
顔から耳まで。いや、身体全体が一気に熱に襲われる感覚。熱い、熱い、熱い。
嫌な予感は、当たってしまった。


