「ちょっと可鈴ちゃん。今タメ息吐く場面じゃないんですけど?」
『え…、はっ!ごごごめ…っ、』
真っ正面から飛んできたのは、二度目となる不機嫌な声色。ムッとして見せる道留君に咄嗟の"ごめん"が零れる。
だけど距離が、顔が、近すぎて最後の一文字"ん"を言う前に息を詰まらせてしまったあたし。むむむ無理だ…っ。
道留君は何でこんなに至近距離が好きなの!?フツーの距離でお喋りしようよ!あたしはそっちの方が好きだよ!?
素顔を知った数日前から、もうこうやって至近距離で何回見つめられたか。おおおお…思い出すだけで恥ずかしい。
そ、それにね、そんな間近で顔を見られるのは…やだ、です。
だって道留君の方が確実にあたしより肌綺麗なんだもん。"はっ、女のくせに俺の方が肌つるっつるじゃん。女のくせに。"なんて思われてたら軽く死ねる。女としてのプライドがズタズタだ。
いや、道留君がそんなこと思うキャラじゃないって信じてるけどね!?でも…。
『(それでもやだ…っ。)』
耐えきれずふいっと逸らした目に道留君がさらにムッとしたのを感じた。あたしを呼ぶ声が選択権を一つしかくれない。


