「可鈴は謝ることしてないじゃん。」

『…違っ…だって、』

「謝んなくていーのー。」

『ダメ、だよぉ…。』

「じゃあ可鈴。謝る代わりに質問に答えてな?」

『…へっ…?』



突然、そんなことを言い出す道留君。



謝る代わりに質問に答えるだなんて、そんなの代わりになんかなんないよ…。ごめんなさい、って言わなきゃ気が済まない。



唇を開いて言おうとするあたしにすかさず気付いて「可鈴。」道留君は瞳でダメ、と言ってくる。



それでも言おうとするあたしに右の頬っぺたを包み込んでいた手は動き腰に回って、頭一個分とちょっと上にある端整な顔は耳元にまで落ちてきた。



腰を折って、耳元に顔を近付けた道留君はそこであたしの名前を囁き、ふぅーっと息を吹き掛けてくる。



それがこそばゆくて、顔を真っ赤にしながら身体を震わせたあたし。



「可鈴、ちゃんと答えてな?」

『…う、ん…。』

「んじゃ質問。」



って、え!?この体勢のままするの!?



ギュッと道留君の服を手に握って、恥ずかしすぎる、と胸を押すあたしにお構いなしな道留君は唇を開いた。



「可鈴。俺と二人でデートすんの、…嫌?」