「――――でも、あたしがいなければ神緯は無事なはずだから、あたしを追ってくる必要性はないんじゃー‥」
少し、落ち着いてクロノアが淹れてくれた紅茶を啜りながらふと、瞳子は思った。
「それは直接、やって来た襲撃者に聞いてみないとわからないね」
クロノアも紅茶を啜りそう答え、一息置いてまぁ理由は薄々気づいているんじゃないの?と続けた。
――――理由、か。なんだろうかと瞳子は思った。
神緯は不安定だ。
精神的に不安定。
彼の生い立ち、そして環境がそうさせてしまったのだが、近くに親しい者がいないと、すぐに癇癪を起こしてしまう。いたとしても何か気に障ることがあると、暴れてしまう。
だから、奏だけでは手に負えなくなったのだろうか。
いや、でも奏も離れてしまっては元も子もない。
では、どうして?
「――――神緯はどうしてた?」
模索していた理由は見つからない。迷宮入りをしていまいそうだった。
だから、単純に聞きたかったことを聞いた。一番聞きたいことではないけれどと瞳子は内心苦笑いをした。
「じっとしてたよ。彼の部屋の隅で。まるで小さな子供のように」
クロノアはゆっくりと立ち上がり机を挟んでいた瞳子の方へ近づいてきた。
何だろうと、瞳子は首を傾げた。
すると、スッとドアに人差し指を向けた。
「もうお帰り、瞳子。ここは時計がないから時間がわからないでしょう?でも、ほら見てごらん」


