あたしは声を普通のトーンに戻すと、普段にしゃべりかけた。 「責めたりしんから、送ってって…」 恭くんは静かに立つと、キーケースを持ち、スタスタ出て行った。 あたしは荷物を持つと、もう二度と来ることのないだろう部屋を見渡し、部屋を出た。 車につくと、あたしは助手席じゃなくて後部座席に座った。 家に着くまで、一言も会話はない。 "ごめん"と言う言葉すら聞けなかった。