なに…これ……
朝、いつも通りに登校すると、黒板にびっしりとある写真が貼ってあった。
颯の卒業アルバムの写真…
それは全く、今の面影のない颯の顔。
下に名前が書いてあるから、かろうじて彼とわかるけど…
それより、そんなことより…
「なにこれ最低、颯ってウチらに嘘ついてたんだ…超幻滅」
佐々木さんが写真を見て言う
颯が、いつ、嘘をついたって言うの
「嘘って何?誰だって隠したいことあるでしょう?あなたにだってあるでしょう?」
「は?かくしごととかって規模違くない?
つか、男で整形とかないでしょ、引く」
「………あなたは、颯が好きだったんじゃないの?」
「こんなの颯じゃないし」
…颯、あなたの言っていた通り
人は、人の顔しか見ていないのかもかもしれない。
でも、あたしは、今の颯もこの写真の中の颯も、颯だと思う。
気づくと、あたしなんて走るキャラでもないのに、教室を飛び出していた。
颯の教室、何組だった?
颯がよくいる場所ってどこだった?
仲の良い友達は?
あぁ、あたし、本当に颯のこと何も知らなかったんだ
「月島サン」
「そら…!」
必死で颯を捜していると、目の前にそらが現れた。
「昨日のことだけど…」
昨日…
昨日のことって、あのことよね
けど、今はそれどころじゃない。
「悪いけど、後にしてもらえる」
「橘捜してんの?」
「そうよ、だから…」
「俺が、言ったから?橘にいけばって。
乗り換え速いね、月島サン」
そらの、冷たい目
乗り換えって、何?
あたしはただ、颯が心配なだけ