各駅停車のこだまとは違い、東京を出た後、静岡・浜松・名古屋と停車することになっていた。

そのひかり78号で別の人間が死んでいた。

「被害者の名は小林誠。年齢は19歳。田村と同じN大の学生だ」

「え、田村と同じN大生なんですか」

「ああ」

事件が発覚したのはひかり78号が静岡を出た後。

3両目のデッキでうずくまっていた小林を、その場を通りがかった乗客が発見。

声を掛けたところ、返事がないので、体をゆすったら、小林はそのまま前のめりに倒れた。

その背中に血痕をみとめたその乗客は、車掌を呼び出し、そのまま警察に通報。

ひかり78号は掛川に緊急停車した。

「救急隊員が駆け付けたが、小林はすでに事切れていた。死因は田村と同じ出血多量」

「背中に血痕があったんですよね」

「調べたところ、刃物のようなもので刺された傷が見つかった」

田村は腹で、小林は背中か。