達郎は白シャツに黒のジーンズといった恰好で、椅子に腰掛けていた。
机の上には『赤福』の箱があった。
「あんた結局あきらめ切れなかったのね」
箱を見ながら、あたしはベッドに腰掛けた。
二日前、達郎は伊勢行きを断念し、まっすぐ帰宅していた(半ば強制的にあたしがそうさせたのであるが)。
「昨日、伊勢まで行って買ってきたんだ」
学校が始まったら、しばらくは忙しいからと、達郎は付け加えた。
「大学はどこ行くの?」
「R大学」
「池袋ね」
「そ、江戸川乱歩ゆかりの地」
「なんで海外の学校卒業してまた日本の学校に入るの?」
「学問で身を立てることになるかもしれないから、日本の大学も卒業しとこうと思ってな」
「ふぅん」
「で、どうしたんだ今日は?」
そう訊かれ、あたしは本題に入ることにした。
「前から聞いてたんだけどさ、あんた海外に行く前、探偵やってたんだって?」
あたしの言葉に、達郎は目を丸くした。
机の上には『赤福』の箱があった。
「あんた結局あきらめ切れなかったのね」
箱を見ながら、あたしはベッドに腰掛けた。
二日前、達郎は伊勢行きを断念し、まっすぐ帰宅していた(半ば強制的にあたしがそうさせたのであるが)。
「昨日、伊勢まで行って買ってきたんだ」
学校が始まったら、しばらくは忙しいからと、達郎は付け加えた。
「大学はどこ行くの?」
「R大学」
「池袋ね」
「そ、江戸川乱歩ゆかりの地」
「なんで海外の学校卒業してまた日本の学校に入るの?」
「学問で身を立てることになるかもしれないから、日本の大学も卒業しとこうと思ってな」
「ふぅん」
「で、どうしたんだ今日は?」
そう訊かれ、あたしは本題に入ることにした。
「前から聞いてたんだけどさ、あんた海外に行く前、探偵やってたんだって?」
あたしの言葉に、達郎は目を丸くした。