「一人で大丈夫か?」 帰り、心配そうに私の顔を覗き込む颯。 「うん。今日はありがとう。」 お礼を言うと、デコピンされた。 「碧衣が辛い思いしてんのに、当たり前だこれくらい。」 颯の一言一言にじんわりと心があったかくなる。 「寂しくなったら、夜中でも電話しろよ。じゃ、な。」 ひらひらと右手を振って去っていく颯の背中を、私は見えなくなるまで見送った。 「ありがと…」 その背中に、もう一度お礼を言った。 だけど… 颯は、それ以上を用意してくれたんだ──…