「碧衣。」 通り過ぎようとしたら、手首を掴まれた。 「…離して。」 「伝えたいことがあるんだ…。海で、待ってる。」 囁くように言うと、颯はその場を去っていった。 なんなの…? 今さら、何を伝えるって言うの? そう思うのに、掴まれた手首が痛いほどに熱を帯びる───…