「な…んで…。」
相手もポカンと私を見る。
「あ…おい?」
愛しい声。
大好きだった人。
「颯…。」
私は、お互い会うのが気まずくて、電車の時間を変えた。
人づてに、颯は自転車で学校に通うようになったと聞いた。
だから、別れてから今まで会うことは一度もなかった。
「…久しぶり。」
「うん…。」
「…メリークリスマス。」
「…メリークリスマス。」
会話が続かない。
颯の顔が見れない。
今も…
釉梨さんと付き合ってるの?
今日も一緒に過ごすの?
考えてはいけない質問が、次々と私の頭を占領していく。
「碧衣。」
颯が、はっきりと私の名前を呼んだ。
…まっすぐに、私を見据えて。
颯の瞳から目が離せなくなる。

