その出来事があったのは、秋の長雨が降る、肌寒い日だった。 俺はいつものように、釉梨の病室に行こうとしていた。 「颯くん。」 後ろから聞こえたのは、釉梨のお母さんの声だった。 「あ、こんにちは。」 ぺこりと頭を下げた俺に、釉梨のお母さんは複雑そうな顔をしながら話があるの、そう言った。 談話室に入って、俺と釉梨のお母さんは向かい合うように座った。 「言いにくいんだけど…。」 顔をしかめながら、釉梨のお母さんはゆっくりと話し始めた。