「碧衣、お風呂は洗ったのか?」 帰ってくるなり、お父さんが私に尋ねる。 「うん。もう沸いてるよ。」 いつかは、家事を手伝うと、両親は喜んでくれた。褒めてくれた。 だけど… 今となっては『当たり前』になっていく。 私は、親の前でさえ、本音を隠した。 そんな私を知ってか知らぬか、お母さんは時々申し訳なさそうに私に言う。 「いい子でいること、ないんだからね。」