何時間たったのかな。 たった数分だったはずなのに、とんでもなく長い時間に感じられた。 「颯なの…?」 独り言のように呟くと、ゆうりさんは綺麗で大きな瞳から、綺麗な涙をひとすじ流した。 「釉梨…。」 そして、颯まで泣きそうな顔をして釉梨さんの名前を呼ぶ。 颯が遠い。 これ以上遠くに行ってほしくなくて、私はしっかりと颯の服の袖を掴んだ──…