「始まりは、静夫が酔った勢いで、浮気相手と共謀し、典子を殺す計画を冗談まじりに話すのを聞いた時でした。

 ああ、私がチェスターに成り代わって、仮面を着けてやろうと。フェイクハントでは悪に仮面が着けられてますからね。丁度その時、チェスターが三件の犯行を重ねていたので便乗しようと思ったんですよ。もしチェスターが捕まれば、全ての犯行をなすりつけられると踏んでいました。

 静夫には『大事な話しがある』と河川敷に呼び出し、早めに河川敷で待っていた私は、背後から、そのムチで首を絞めました。そしてあちこちで販売されている仮面を、いくつかの店で購入し、車のトランクに隠しておき、その一つを静夫の顔に着け、何くわぬ顔をして捜査に戻ったのです。

 静夫から、浮気相手の名前まで訊いていなかった私は、静夫が安置されている霊安室に、典子と遥が来た時の遥の態度や、涼から聞いた話しから推測して、静夫の浮気相手は遥だと確信しました。