フェイクハント

「涼、河川敷に行ったその日以降、典子とは?」


 海人の質問に、涼は俯いたまま黙ってかぶりを振った。


「そうか、典子ああ見えて、精神的に弱い部分あるから、涼、会いに行ってみろよ。典子がもし自殺なんて考えてたら」


「そうする。典子が自殺なんて考えたら私……明日にでも行ってみる」


 目に薄っすらと涙を溜めて、それでも友達想いの涼は、顔を上げ、力強く答えた。