涼と典子と秀樹が現場に着くと、警察やマスコミで溢れ返っている。

　遠目で見ると、すでに雪絵の遺体は運ばれた後らしい。

　呆然と立ち尽くしていると、涼達の姿に気付いた海人が、小走りに駆け寄ってきた。


「来てたのか……雪絵のことについて、後で色々訊かれると思うから、先に警察署へ行けるか？　俺も後で行くから」


「なぁ海人、本当に被害者は雪絵なのか？　昨日まで話しも出来た雪絵が、死んだなんて嘘じゃないのか？　なぁ！」

　
　秀樹は海人に掴みかかり、そう問うたが海人は下を向き、黙って頷くだけで、視線が定まっていなかった。


「海人、雪絵もチェスターに？」


　あえて秀樹の前で、殺されたという言葉を使いたくなかった涼が、海人にそう訊くと、小さく頷いた。


「警察署に行ってましょう。」


　典子が力のない声で、涼と秀樹にそう云うと三人は歩きだし、海人も肩を落とし、俯いたまま現場に戻って行った。