「そろそろ署に戻るか。車乗ってくよ。涼、ゆっくりしろよ」


 涼は疲れた顔で頷くと、海人を玄関で見送った。

 そして涼は、疲れた身体を癒やそうと、玄関から浴室に向かった。

 浴室に入ると、涼は鏡で自分の顔を見て驚いた。海人だけではなく、涼も目の下には、くっきりと隈が出来て病人のような顔をしていた。

 それから湯船に浸かると、うとうとしてしまい、危ない危ないとひとり言をつぶやくと湯船から出た。

 浴室から出ると、涼はすぐに冷蔵庫からビールを取り出し、のどを鳴らしながら立ったまま飲んだ。そして三分の一ほど残ったビールを持ちリビングのソファに腰掛けると、しばらくぼんやりしていた。

 友達って一体何なのかしら。私達七人は心から信頼出来る友達だったんじゃないの? 
 静夫と雪絵は典子を裏切り、典子を殺そうとしていた……。そして静夫と遥はチェスターに殺されてしまった。

 夜も更け、涼は憂鬱な気持ちを抱えたまま、寝室に向かうとベッドに入った。

 そして新たな悲劇が起こることなど想像もせず、深い眠りについたのだった。